択捉型に引き続き計画された航洋型海防艦。
 択捉型では複雑な上に南洋での用途に適さないと判明した為、30隻の計画のうち14隻で建造を打ち切り、新たに設計を行ったのが本型である。

 最初から南方航路の護衛艦として設計されている為、主砲は新製の12センチ高角砲に改め、航続距離を犠牲にして爆雷を大量に搭載、また待望の電探も完成時より搭載され、日本海軍初の本格的航洋型護衛艦として完成した。
 ただし、依然として大型の掃海具を装備するなど、戦時急造の日本艦の特徴である「未練」が見られるのは残念である。

 本型の工数は5万7千工数、平均建造期間は8.8カ月で依然として不十分とされ、さらに簡略化した鵜来型へと移る事になる。

 なお、九番艦「日振」以降の日立造船桜島工場で建造された艦は、外見的にどこから見ても鵜来型で、御蔵型と共通しているのは大型掃海具を装備しているだけなので、ここでは独立したグループ「日振型」として扱った。  さらに、ややこしい事に昭和19年末に「乙型」という呼称は廃止され、「名前付き」の海防艦を司令海防艦として「甲型」、番号海防艦を「丙型」「丁型」とした為、戦後の艦艇史研究は少なからず混乱してしまっている。

乙型(御蔵)要目(新造時)

 名  称   乙型のちに甲型(御蔵型)
 ネームシップ  御蔵
 建造時期  昭和18年10月31日〜昭和19年5月31日
 建 造 数 8隻
 基準排水量  940トン
 全  長   78.7m
 水 線 幅   9.1m
 吃  水   3.05m
 主  機   艦本式22号X型ディーゼル2基
 推 進 軸 2軸
 主  缶   −−
 出  力   4200馬力
  計画速力  19.5ノット
 航 続 力 16ノットで5000浬
 燃料搭載量  重油120トン
 乗  員   150名
 兵  装   12センチ45口径連装高角砲 1基 
 12センチ45口径単装高角砲 1基
 25ミリ連装機銃 2基
 爆雷120個(投射機2基、投下台2台 投下条2基) 


同型艦:御蔵、三宅、淡路、能美、倉橋、屋代、千振、草垣