昭和19年度計画の輸送艦。SB(D)とも略される。

 第1号型の計画時に「戦車輸送」の要求があがったが、第1号型に戦車搭載能力を付加するよりは新規設計の方が効率的という事になり、第1号型に1ヶ月遅れでスタートしたが、完成はこちらのほうが早かった。

 海岸に乗り上げ、前扉より戦車を発進させる、いわゆる揚陸艦で米軍ではLST(Landing Ship Tank)だが、サイズはこちらの方がふたまわりほど大きい。(何でも巨大化したがるアメリカ人と、小さく作ろうとする日本人の関係を考えると珍しい事ではある)

 戦時量産艦な上に、ある程度の損害は最初から覚悟の上の艦種だけに徹底した簡略化が図られ、ほとんど曲線が用いられておらず、船体強度もかなり犠牲になっており、第四艦隊事件以降、船体強度にナーバスといっても良い態度を取っていた日本海軍の航洋艦艇としては極めて異例の「好天を選んで南方に航行可能」という条件になっている。
 もっとも、本型が活躍した硫黄島やサイパンは決して穏やかな海ではなく、その上、戦況は好天を選ぶなどという悠長な段階は過ぎており、かなり危険な目にあったらしい。
 (もっとも、荒天だと米軍機も飛べないので、逆に安全だったかも)

 適当な機関が無かった為、中速ディーゼル3基採用する事で無理矢理1200馬力を確保、日本海軍の小型艦艇としては非常に珍しい3軸推進艦となっている。(接岸時の推進器破損対策や、3軸の方が離岸時に有利というのも理由かもしれないが、103号型は2機1軸である)

 6隻が建造され、熾烈な輸送戦により6隻全艦が戦没した。

第101号型(新造時)

 名  称   第101号型
 ネームシップ  第101号輸送艦
 建造時期  昭和19年2月20日〜昭和19年3月15日
 建 造 数 6隻
 基準排水量  950トン
 全  長   72m
 水 線 幅   9.1m
 吃  水   2.89m
 主  機   中速400馬力ディーゼル機関 3基
 推 進 軸 3軸
 主  缶   −−−−
 出  力   1200馬力
  計画速力  13.4ノット
 航 続 力 13.4ノットで3000浬
 燃料搭載量  重油68トン
 乗  員   90名
 兵  装   8センチ40口径単装高角砲 1基
 25ミリ三連装機銃 2基
 搭 載 量 250トン(戦車9両、人員320名、貨物26トン)

同型艦:
 第101号〜第106号