戦利砲艦等(河用砲艦)

 太平洋戦争で捕獲または購入した長江型の河用砲艦の概要を以下に示す。


舞子 - Maiko -
 明治43年竣工の元ポルトガル砲艦<マカウ>
 旧式艦であるが、河用砲艦の不足に悩んだ日本軍が購入し<舞子>とした。
 ポルトガルの支配領域であるマカオと珠江河流域の警備を目的として建造された為、三峡遡上の必要がなく、速力が遅いという点で長江型と異なっている。
 排水量133トン、速力11.8ノット、主兵装57ミリ機銃2門。


鳴海 - Narumi -
 大正10年竣工の元イタリア砲艦<エルマーノ・カロッツオ>
 昭和18年イタリアの降伏により上海で自沈。同年、日本軍により浮揚・整備され砲艦に編入された。
 終戦後、国府に接収。さらに中共の手に渡り長く使用された。
 排水量180トン、速力14ノット、主兵装8センチ砲1門。


多多良多多良 - Tatara -
 昭和2年竣工の元アメリカ砲艦<ウェーク>。
 開戦が不可避となり、アメリカ艦隊が上海を脱出した後も上海に留まり、開戦と同時に日本軍に捕獲された。
 アメリカ艦らしく、居住性が良好で、臨時に支那方面艦隊の旗艦を努めたこともあった。
 勢多型とほぼ同世代の艦であるが、勢多型にくらべ速力が遅く三峡の遡上は不可能であったが、それは建艦テクノロジーの問題というより、アメリカの権益範囲の問題であったと思われる。
 排水量370トン、速力12.5ノット、主兵装8センチ砲2門。