昭和2年度計画により建造された河用砲艦。

 既存の河用砲艦が排水量の増加に伴う吃水増に悩まされた為、おもいきって艦型を小型化すると共に、充分なマージンを確保、さらに内地で建造後、自力で東支那海を航行して長江に回航が可能な事など、従来のイギリス式を脱却した日本独自の設計となっている。
 また、勢多型と同じく、混燃缶を採用したが、勢多型の運用実績により、重油を減らし、石炭を増量している。

 しかし、軍艦というものは際限無く巨大化していく性質があり、改良型が小さくなるというのは、軍縮条約や予算上の理由のものを別にすると極めて珍しい事ではある。

 <熱海><二見>の2隻が建造され、就役直後から上海事変などで活躍した。
 就役後、幾度か武装や通信設備の強化をうけたが、充分なマージンを見込んでいたにもかかわらず、排水量増加に伴う吃水の増加と乾舷の減少に悩まされており、砲艦の排水量問題は打つ手がなかったのが判る。

 太平洋戦争では空襲や触雷で何度が損傷するも生き残り、国府軍に接収され<永平><永安>となった。

熱海型要目

 名  称   熱海型
 ネームシップ  熱海
 建造時期  昭和4年6月30日〜昭和5年2月28日
 建 造 数 2隻
 基準排水量  205トン
 垂線間長   45.30m
 最 大 幅   6.79m
 吃  水   1.13m
 主  機   直立2気筒2段膨張式レシプロ機械 2基
 推 進 軸 2軸
 主  缶   ロ号艦本式水管缶(重油・石炭混燃) 2基
 公試出力   1200馬力
 計画速力  16ノット
 航 続 力 10ノットで1000浬
 燃料搭載量  石炭31トン、重油26トン
 乗  員   54名
 兵  装   8センチ単装高角砲 1基
 7.7ミリ単装機銃 5基

同型艦:
 熱海、二見