大正9年度計画により建造された外地警備用の大型砲艦。

 清朝崩壊と内乱による混乱と21箇条の要求などによる反日感情が高まりにより長江警備の重要性が増した為、ほとんど八八艦隊計画のどさくさにまぎれて建造した大型砲艦。

 河用砲艦群の旗艦用として設計されており、司令公室などの設備を備えると共に、威容にも留意されており、独特の艦型となっている。

 大型で、それなりの外洋航海能力は持っていたが、任務上、整備・修理の為に内地に戻るほかは、常に大陸にあり長江の砲艦群を指揮しつづけた。

 太平洋戦争末期には船団護衛にも従事したが、無事に終戦を迎え、戦後は国府に接収され<安東>となり、さらに中共の手に渡ったが、その後は不明である。


安宅の戦い:遠慮? 〜安宅〜

 安宅は最初の予定艦名を<勿来>としていた。砲艦の命名規則は名所・旧跡であるから、勿来関で有名な<勿来>は名前としては何の問題もない。中国に派遣されるので無ければ・・・
 「勿来」は「来ル勿レ」、すなわち砲艦<来るな>。他所の国に勝手に軍艦を送り込んでおいて「来るな」とは・・・
 流石に日本軍も気がとがめたのか、勿来と同じく義経ゆかりの「安宅」と改められた。


安宅要目

 名  称   安宅
 ネームシップ  −−−
 建造時期  大正12年8月12日
 建 造 数 1隻
 基準排水量  725トン
 垂線間長   67.67m
 水 線 幅   9.02
 吃  水   2.29m
 主  機   直立3気筒3段膨張式レシプロ機械 2基
 推 進 軸 2軸
 主  缶   ロ号艦本式水管缶(重油・石炭混燃) 2基
 公試出力   1700馬力
 計画速力  16ノット
 航 続 力 12ノットで2500浬
 燃料搭載量  石炭235トン
 乗  員   118名
 兵  装   12センチ単装砲 2基
 8センチ単装高角砲 2基
 6.5ミリ単装機銃 6基