徹底した簡略化を施し、主機も量産可能な低出力ディーゼルとしたた第一号型(丙型)であるが、それでも、ディーゼル主機の供給に不安があり、それを補う為にほぼ同大・同寸の船体に戦標船と同じ単式タービンを装備した、日本が建造した海防艦で唯一のタービン艦が本型である。
 タービン艦である為、航続距離が犠牲となり、最低ラインという事で内地−スマトラ間の航路護衛に必要な4500浬とされたが、実用上、とくに問題となることはなかった。
 また、日本の戦闘艦艇としては珍しい1軸推進艦という点も特徴である。
 
 丙型とほぼ同大・同寸で武装等も同じであるが、タービンの位置などの関係で煙突の位置・形状が大きく変わっており、外見上はどちらかと言えば掃海艇に近いような印象を受ける。

 「明日の10隻より今日の1隻」の悲鳴の元、計画着手から艦本決裁までわずか1ヶ月という、1/700の金型を作るかのようなスピードで計画を完了し、丙型と同様に大量生産に入った。
 143隻が計画され、63隻が完成、うち25隻が失われた。

第ニ号型の戦い:最短レコード 〜第198号海防艦〜

 三菱長崎造船所は第198号海防艦の建造において昭和20年1月17日に起工、3月31日に竣工という、ものすごい記録を達成した。
 かつては数年かかって作ってた船を75日を作ってしまうのだから、方向が決まった日本人というのは恐ろしいものがある。




丁型(第二号型)要目(新造時)

 名  称   丁型(第二号型)
 ネームシップ  第二号海防艦
 建造時期  昭和19年3月7日〜昭和20年7月11日
 建 造 数 63隻(計画143隻)
 基準排水量  740トン
 全  長   69.50m
 水 線 幅   8.60m
 吃  水   3.05m
 主  機   艦本式甲25型オールギヤードタービン 1基
 推 進 軸 1軸
 主  缶   艦本式ホ号水管缶
 出  力   2500馬力
  計画速力  17.5ノット
 航 続 力 14ノットで4500浬
 燃料搭載量  重油240トン
 乗  員   141名
 兵  装   12.7センチ45口径単装高角砲 2基
 25ミリ連装機銃 2基
 爆雷120個(投射機12基、投下条1基) 

同型艦:
第2号〜第84号(58、62、70、78、80号欠)の偶数番号および第102、104、106、112、118、124、126、130、132、134、138、144、150、154、156、158、160、186、190、192、194、196、198、200、202、204号